安く借りれた一軒家での一人暮らしで

FAX電話

 

10年くらい前、2階建ての一軒家で一人暮らしをしていた時の話。

 

場所は千葉県の東京寄りで、駅からは遠かったがお陰様で安く借りれた。

 

不動産屋曰く、「住んでいた人が亡くなられ親戚が相続したが、空けておくのが勿体ないので賃貸に出した」との事。

 

家具やら調度品やら大きな物はそのままで、「好きに使っていいよ」という話だったが、さすがにガラスケースに入った日本人形は気持ち悪かった。

 

住み始めてからは主に1階で生活して、2階はほぼ荷物置き場であまり上がらなかったが、たまに足音などが聞こえる・・・ような気がした。

 

でも古い家だからと納得した。

 

そして自称霊感のある友達が遊びに来た時、「ここちょっとよくないかも・・・」と言っていたが、特に何も感じていなかったのでスルーした。

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老人のうめき声が・・・

そんなある日の夜、近所の本屋併設のレンタルビデオ屋へ外出した。

 

携帯を持って出たが、家を出てすぐにバッテリー切れで電源オフに。

 

でも気にせずそのまま店に向かった。

 

ビデオを返却したり立ち読みしたりして、2時間ほどで帰宅した。

 

そしてすぐに家の電話に着信があった。

 

電話に出てみると、友達からだった。

 

「あ、お前無事だったか!!良かった」と。

 

「何が?」と聞いてみると、用事があって携帯にかけたが、電源が入っていないので家の電話にかけた。

 

10コールくらいしてから切ろうとすると、ガチャと電話に出たが、話しかけても無言。

 

あれ?と思っていると、突然うめき声が聞こえ始めたとか。

 

それも老人のような・・・。

 

うめき声は20秒ほど続き、電話はうちの方から切れてしまったらしい。

 

「その後、何度かけ直しても留守電に繋がるしさ、お前が倒れたにしちゃじいさんの声だったし・・・」と。

 

そういえば不動産屋は、「今の持主の親戚が亡くなって」と言っていたが、単純に病院で亡くなったものかと思い込んでいたが、もしかしてこの自宅で亡くなったのか?

 

結局、この家に2年ほど住んでいたが、そんなに変な事は起こならかった。

 

あとがき

後にも先にもこんな事は一度きりだったので、電話に出たじいさんの声の正体は分からない。

 

大家さんが結構いい人だったので、特に追及はしなかった。

 

今にして思えば、間違え電話が多い家だった。

 

FAX付きの電話だったが、どこぞの会社から在庫確認のFAXが来たりと。

 

会社からだけではなく、一般家庭宛ての間違い電話もあったのが不思議と言えば不思議だ。

 

『おじいちゃん、お祝いありがとう』という、女の子の声が留守電に入っていた事もあった。

 

留守電やFAXの間違えはあったが、そういえば一度も自分で間違い電話に出た事はなかった。

 

(終)

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