毎日おばあちゃんの話をしていた友達
私が小学2年生の時、一番仲の良かった友達のアケミちゃんが毎日おばあちゃんの話をしていた。※名前は仮名
おばあちゃんは優しい人で、色々と話してくれるらしい。
アケミちゃんはおばあちゃんのことがよほど好きなんだなあ、と私は思っていた。
聞いていると、おばあちゃんはいつも屋根裏部屋にいて、アケミちゃんがそこへ行くらしかった。
そんなある日、アケミちゃんが「おばあちゃんに会わせてあげるから」と、私を家に呼んでくれた。
私だけに話していた
行くと、見た感じは普通のお宅だが、たしかに2階の上にハシゴで上るとロッジのような屋根裏部屋があった。
しかし、アケミちゃんが「おばあちゃん!」と何回も呼んだが返事も姿もなく、「あれ?おばあちゃんいない。どうしたんだろ?」と呟いていた。
結局おばあちゃんには会えず、その日は普通に遊んで帰った。
ただそれ以降、アケミちゃんはおばあちゃんの話を全くしなくなった。
聞いてみると、「おばあちゃん、あの日からいなくなっちゃった」と言っていた。
後で他の子に聞いてみたら、『あの家にはおばあちゃんはいない』ということが分かった。
どうやら、アケミちゃんはおばあちゃんの話は両親にも話さず秘密だったようで、私だけに話していたらしい。
でも私は、たぶんアケミちゃんはそこにいたおばあちゃんと本当に話していたんだろう、と思っている。
なぜ私にだけ話し、私が行ったら消えてしまったのか不思議だが、結局はアケミちゃん自身もその後すっかり忘れたかのようにおばあちゃんの話をしなくなったので、その疑問は聞けないままになった。
大人になった今、もしかするとおばあちゃんは話を打ち明けられる本当の友達ができたから安心して消えたのかな?という気もする。
私のせいでビックリして消えてしまったかと思うことも・・・。
ちなみにあの後、アケミちゃんの家には何人かで遊びに行くようになった。
屋根裏部屋にはあれ以来は行くこともなく、外で遊ぶことが増えた。
もし安心しておばあちゃんが消えてくれたなら嬉しいかな。
(終)
タグ:おばあちゃん, イマジナリーフレンド, 不思議な出来事, 友達