鬼ごっこが禁止されていた村落
私の田舎の村落では、『鬼ごっこ』は禁止でした。
唯一許されるのが、3年に一度の『鬼路の異祭』という祭りでの鬼ごっこです。
その鬼ごっこは、男の大人達は鎌を両手に持ち、女に連れられた10歳以下の子供を探して回るもの。
私は小さかったのであまり覚えていないのですが、泣きじゃくるお母さんに抱えられて、山の洞窟みたいな場所で一晩を過ごした記憶があります。
普段は優しいお母さんが、鬼のような形相で「絶対に声を出したり動いたりしないで!」と叫んだのが強烈に記憶に残っています。
その後の記憶は、1つ上のお兄ちゃんのお葬式でした。
お葬式の間、村の大人達が「仕方ない。一番に見つかったのが不運だな」と口々に言っていました。
その数週間後にお母さんが精神病院へ入院したのをきっかけに、私は都会の養護施設へ預けられました。
村を離れることになったので祭りが今も行われているのか知りませんが、今でも『鬼ごっこ』と聞くと、どうしてもその出来事を思い出してしまいます。
(終)
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