山に居る変なモンの話
これは、田舎の友人に聞いた話。
彼の家では、山で椎茸を栽培している。
時々、木に悪戯されたり盗られたりするので、山に見回りに行くそうで。
ある時、山をいつものように見回っていると、木々の向こう側に『動く影』を見つけた。
迷彩服でも着ているのか、どうにもハッキリと判らないので、彼は「ははあ、サバゲーでもしにきた連中だろうな」と思った。
「すみませーん、ここ、私有地なので入らないでもらえますかー?」
大声で注意した。
すると、その影はこちらに歩いてきた。
ザクッ、ザクッと枯葉や土を踏む音と一緒に影は近づいてくるが、輪郭や顔が見えない。
そのまま音と影は彼の横を通り過ぎ、どこかに行ってしまった。
「結局、アレが何なんだかわかんねえんだよ。親父や爺ちゃんに聞いても、山に居る変なモンだよ、としか言わないし」
彼は、そう言って首を傾げていた。
(終)
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