うちの母を恨む人は数知れず
これは、うちの母にまつわる話。
うちの母は最低最悪な人で、母を恨む人は数知れず。
私は子供心に、「色んな人から悪意を向けられているなあ」と感じていた。
極めつけは、パート仲間の母の知人が、「旅行へ行くのに服がないから貸してくれない?」と母に頼み、その借りた母の服を着て自殺した。
自殺の理由は母とは関係なかったが、遺書に『どうせなら一番嫌いな人の服を着て嫌がらせをしてやる』というようなことが書かれてあったらしい。
そんな嫌がらせをされる母は、私が思っている以上に最悪なんだと思った。
貸した服もシミが付いていたり綻(ほころ)んでいたりと、そういう服をわざと貸したのにもかかわらず、遺族に弁償代を求め、そのうえ亡くなった人の形見分けとして金目の物を半ば強引にせしめていたのも私は知っている。
その後、両親は離婚して母が出ていったが、数年後に不慮の事故死で去った。
その時に母が着ていた服は、奇しくも自殺したパート仲間だった人の形見分けで奪ってきた服だった。
「こんないい服もらってきた~」と浮かれてはしゃいでいたから忘れない。
自殺したパート仲間さんには、「死んでも母を呪ってくれてありがとう」と感謝したい。
(終)