鉄道会社で信じられている縁起の悪い言い伝え
これは、鉄道会社内だけで伝わっている『アタル』に関する話。
鉄道会社は、わりと迷信くさいところがありまして・・・。
昔は突放やら保線やらで何かと命の危険の多い職場であったということもあるのでしょうが、神棚は各駅に配備され、切ると祟られると言われる木には、木を切るのではなく線路を覆いで囲って回避します。
※突放(とっぽう)
車両を突き放して転がすこと。
※保線(ほせん)
線路の保守を行うこと。
そんな職場ですが、一番信じられている縁起の悪い言い伝えがありまして、それが『アタル人』、『アタル列車』なのです。
今日もどこかで
何が『アタル』のかと言いますと、異常事態にあたるわけでして、人身事故や雨規制、車内トラブル等々、列車が大幅に遅れる要因にあたるわけです。
職種は関係なく、一般社員、車掌、助役、果ては輸送指令まで、アタル人はとことんあたります。
曰く、某社員はホームで立ち番をすると遅れるとか、特急に乗務すると必ず何か起きる乗務員とか、一斉放送を聞くと「ああ、またこの指令か」なんて思ったりすることもあります。
列車の場合ですと、某特急の初期配備車の片割れは人身事故のオンパレードで、特急で人身事故が発生して当該列車の編成番号を見るや、「ああ、やっぱりか」なんてことはしょっちゅうです。
ちなみに、もう一つの片割れは車両故障の宝庫で、某駅でパンタグラフを落としたことがあったように思います。
上記の編成ではないのですが、下りで人を撥ねて、上りでも撥ねた、なんて車両も存在します。
偶然の産物のような気はしますが、「今日は○○指令に××助役か・・・。こりゃ何かあるな」、「おい、□□。今日は列車遅らすんじゃねぇぞ」、「げっ、今日△△編成かよ・・・。勘弁して」とまぁこんな感じに、 一般の人から見れば何じゃそりゃという感じでしょうが、意外に皆さん信じています。
案外、今日もどこかでアタル人が何かにあたっているかもしれません。
(終)