実家の2階にある封印されたままのトイレ
これは、実家にある『開かずの間』にまつわる話。
今から40年ほど前、実家は国鉄の運転手さんの寮として使われていた。
その頃に2階のトイレで事故があり、子供が一人亡くなったそうな。
以降、寮に住む運転手さんの間では「トイレに子供の幽霊が出る」と噂され、封印されることに。
子供の姿
時は過ぎ、その物件をうちの婆さんが買い取ったのだが、中途半端な改築しかしなかったせいで、封印された2階のトイレは残ったままになった。
この話、近所では結構有名だったそうだが、私は中学に上がる頃まで知らなかった。
ある日、窓はあるが入り口のない空間を見つけた私は、母に「あの部屋って何?」と聞いたところ、「ああ、あの部屋は昔トイレだったんだけど、事故で子供が死んでから幽霊が出るそうだから封印したらしい」ということを聞かされて真っ青になった。
それからもう10年が経つが、未だその部屋は残ったまま。
それに、両親は実家を建替える気はない様子。
曰く、「化けて出る馬力があるんなら死にゃしねぇよ」とのこと。
なるほど・・・と思った。
でも、私があの日に見た『子供の姿』は何だったんだろう。
あれは高校2年の夏、ちょうど夏期講習が終わり、家に帰る途中のことだった。
帰り道から家の裏側がちょうど見えるのだが、2階の窓に子供の姿が見えた。
親戚でも帰って来たのか?と思ったが、家に帰ってみると親戚など誰も来ていない。
ゾッとして両親にそのことを話したが、「普段から怖がっているからそんな幻覚を見るんだ」と相手にされなかった。
父曰く、「幽霊っつーのは、その人の脳が持っているイメージが見せるもんだ。この家で子供が死んでいるという先入観があるから、そんな幻を見たんだろう」とのこと。
でも、あまりにハッキリと子供の姿が見えた。
これについては今でも疑問に思っている。
(終)