我が子を水に近づけると祟られ死んでしまう
これは、岩手県のとある地区で起きた実話という触れ込みで聞いた話。
ある若い夫婦は妊娠はするものの、長子が3歳になる前に亡くなった後は、検査では異常がないにも関わらず流産や死産が続いていた。
ようやく無事に次子が生まれたが、長子が早逝していたこともあり、ある程度名の知れた地元の拝み屋のような人に相談に行ったという。
その人が言うには、「何者かに祟られている」とのこと。(確か蛇だった気がするが、祟られているのが旦那さんの家系か奥さんの家系かは失念・・・)
さらには、「何もしないままなら次子も5歳になる前に死んでしまう」と言う。
どうすればいいのかと聞くと、「とにかく水に近づけるな。水難の可能性を排除して、5歳を過ぎれば大丈夫」だと言う。
確かに、長子は水難事故で亡くなっていた。
夫婦はようやく授かった子の無事の成長のため、お風呂を始め、洗顔や歯磨きに至るまで、水を少しでも使用する場合は必ず付き添い、とにかく『水』に注意して、慎重に拝み屋のアドバイスを実行し続けた。
その甲斐あって、次子は5歳の誕生日を迎えた。
皆で盛大にお祝いしようと、誕生日の当日には親戚縁者を招いての誕生日パーティーが開かれることになった。
そして、招待客が到着するのを待っている間に電話が鳴った。
和室で子供と遊んでいた母親は、念のために部屋を見回し、麦茶の入ったコップを持って電話に向かった。
到着が少し遅れるという親戚からの連絡だった電話を終え、子供が遊んでいる和室に戻った母親が見たものは、押し入れに頭を突っ込んで死んでいる我が子だった。
なんでも、その押し入れの襖には『波打つ海の絵が描かれていた』という。
(終)