祠を別の土地へ移して間もなく
これは、知り合いが体験した不思議な話。
家の敷地の外れに、いつ造られたのかもわからない『小さな祠』があったという。
その一角にアパートを建てることにしたので、祠を移動させることに。
取り立てて信心深いわけではなかったが、潰してしまうのも躊躇われたので、祠は近所に住む親戚の土地へ移された。
祠を移して間もなく、敷地内にある二つの井戸が同時に枯れてしまう。
仕方ないので、新しく市水道を引くことにした。
逆に、祠を移した親戚の家では、随分と前に枯れていた井戸が再び水を噴き出した。
現在その井戸には、良質の水が満ちているという。
「あの祠、本物だったかな。惜しいことした」
水道の申請に伺った私に向かい、彼はそう言って苦笑した。
(終)
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