誰が生き残るかを公平に決めた

毒キノコ

 

これは、東北地方の寂れた山村出身のばあちゃんから聞いた話。

 

度重なる飢饉や疫病で、皆が飢えていた悲しい時代のこと。

 

人減らしをしなければ、集落自体がなくなってしまうほど飢えていたという。

 

そんな訳で、公平に誰が生き残るかを決めなければいけなかった。

 

そして村で決めたその方法とは、『宴会を開く』というものだったそうで。

 

但し、少ない食料を持ち寄って、女も子供も参加して開いた宴会には秘密があった。

 

そんなには多くない食事の中の一部に、山間には多く見られた”食わず茸という毒茸”を、細かくして混ぜたという。

 

夜が開ける頃、辺りには狐に憑かれたようにブツブツと呟いている者、笑っている者、叫んでいる者が現れる。

 

しばらくすると、泡を吹いて息をしなくなったり、笑いながら崖から飛んでしまう者もいた。

 

この村に伝わる悲しい実話だ。

 

食べ物は絶対に粗末にしたらいけないという教訓で伝えられていたようだが、ばあちゃんは「だから、わしゃは宴会には参加しねぇ」と、いつも言っていた。

 

(終)

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