心霊写真が撮れたと思って雑誌に投稿したが
これは、30年程前に友人が体験した、洒落にならない実話。
当時、大分下火になっていたものの全国的に心霊ブームで、週刊誌でも『心霊写真コーナー』なるものが普通にあった。
女子大生だった私の友人のサユリは、学生アパート住まいの友人エミの部屋でパジャマパーティー(寝間着姿での飲み会。当時流行っていた)をやっていた。※名前は仮名
彼女らは盛り上がりった勢いで写真を何枚か撮り、現像があがった写真を見ていると、その内の一枚には窓の外から覗く人の顔が・・・。
如何にも心霊っぽい不気味な顔がボンヤリと写っていて、「げっ!マジで心霊写真じゃないの!?」と、サユリは某全国雑誌に投稿した。
その写真は採用されて結構大きく(顔部分の拡大写真付きで)掲載されたが、それは実際には心霊写真でも何でもなかった。
実は、その学生アパートの引きこもり気味だった大家の息子がベランダに入り込み、彼女らの様子を覗いていたのが偶然写真に写り込んでしまっただけだった。
アパート住人のエミはその息子の顔を知らなかったが、ご近所や知人には息子の顔を見知っている人はいた。
いくらピンぼけでも、拡大写真で大きく載ってしまったのであっという間に特定されて、覗き見がバレた息子はその後、完全に引きこもって後に“自殺”してしまった。
エミは覗き見騒動の時にいたたまれなくなり、部屋を解約して既にアパートから出ていたので息子の自殺にはリアルタイムで遭遇していなかったけれど、写真を投稿した張本人であるサユリはノイローゼのようになってしまった。
(終)