私だと思って大事にしてね
これは、ちょっと不思議な体験をした話。
ある日、バイト先で友達になったメグミが漫画を貸してくれた。※仮名
「昔に流行ったけど読んだことないんだよね~」と言う、私の些細な一言を覚えていてくれて。
ちなみに、漫画のタイトルは『ダイの大冒険』。
でも一気に全巻持って来てくれていたので、それはそれは重かった…。
なにせ40冊近くもあるし、それに私もメグミも電車と徒歩通勤だったから。
「悪いね、ありがとう」という感じのことを言うと、メグミは「大好きな漫画だけど、良かったらあげる!私だと思って大事にしてね」なんて、おかしなことを言うので二人で笑っていた。
ただ結果的に、私はその漫画を本当にもらい受けることに。
次の日、くも膜下出血でメグミは亡くなってしまい、とても驚いた。
悲しいも何も、昨日まで一緒にバイトして、会話して、お茶して…。
本当に普通だったのに、貰った漫画が彼女の形見になってしまった。
そして後から聞いた話だと、他の友達らにもドラクエグッズだとか、お気に入りの逸品を突然配って回っていたみたいで。
突然死のはずなのに偶然だろうけれど、この世からいなくなる前の身辺整理みたいで寂しい気持ちになった。
あとがき
普段はやらないのに、急に身辺の整理したり、掃除したり、他人に自分の大事にしている物をあげたりすると、しばらくしてその人が亡くなるという話はちらほら見聞きするけれど…。
何か霊的に関係あるのかなぁ。
(終)