百物語が進むにつれ異変がはっきりと

サークルでのキャンプの時、

10人で百物語をすることになった。

 

さすがに100本のロウソクを

用意するのは無理なので、

 

10本のロウソクでやった。

 

ひとつの話が終わったら

ひとつ吹き消して、

 

また点けるという形式で。

 

俺が異変に気づいたのは、

一周した頃だった。

 

バンガローの壁に、

 

小さな子供ほどの背丈の影が

映っていて、

 

その影が俺達の円を囲むように

歩いていたのだ。

 

猫背で両手をだらんと垂らした、

不気味な影だった。

 

俺の番が回ってきたので、

その影を無視して話した。

 

二周すると、

その影は成長した。

 

確かにデカクなっている。

 

やばいと思いつつも、

俺は影を目で追っていた。

 

三周目。

 

影ではなく、

実体がある黒い塊になった。

 

背丈は、もう大人くらいある。

 

さすがに怖くなってきた俺は、

うつむいた。

 

視線の端に黒いものが

歩いているのが見える。

 

また俺の番が回ってきて顔を上げると、

黒いものがいなくなっていた。

 

ほっとした次の瞬間、

奴を見つけた。

 

友人の後ろに立っていた。

 

もうやめよう、と俺が言うと、

三人が同意。

 

すぐに明かりをつけた。

 

黒いものは消えていた。

 

寝る前に、俺に同意した三人が来て、

いたよな?と同時に言った。

 

今のところ、友人に

何も起こってはいない。

 

ただ、あの日から肩が重いと

ぼやいているのだが。

 

(終)

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