幽霊の話をしていると
小学生の頃、
俺は結構人気者で、
生徒会の役員をやってたんだ。
週に1~2回は、
生徒会の同級生や後輩と、
生徒会室で夕方に遊んでた。
ある日、後輩数人と、
幽霊の話になった。
まったく霊感のない俺は、
「そんなものいない!」
と言い張ってたら、
一人の女の後輩が、
(実は好意を寄せていた)
「絶対幽霊はいるよ!」
と、言い返してくる。
生意気な!
そう思い、
「じゃあ、近くにいるのかよ!
言ってみろよ!」
と、俺も挑発。
「じゃあ言うけど、
あそこの後ろのドアの横に、
さっきからずっと立ってるよ・・・」
そんなことを言われても、
幽霊否定派の俺も
黙ってはいられない。
挑発半分、興味半分で
その幽霊の詳細を聞いた。
その子は答える。
「顔が土色で、半透明。
背はあまり大きくないけど、
男の子だよ」
実は、ビビっていた。
なにせ、その子の友達も、
見えると言い出したのだ。
しかし、女の子の前で
調子に乗っていたのか、
俺は挑発を続けた。
「どこに立ってる?」
「どんな感じ?」
「どこ見てる?」
と矢継ぎ早に聞き、
あろうことか、
その幽霊がいる場所に立ち、
そのまま再現したのだ。
しかも、顔の高さとか
角度まで聞き、
まるっきり同じように
してやった。
その時、
「きゃああ!!」
女の子が叫んだ。
「どうした?」
って聞くと、
「今、笑った・・・。
やばい気がする。
もうこの話やめない?」
って。
ここまで言われたら、
もう止めるしかないでしょ。
それからは、
全然違う話をし始めた。
そうしてればその幽霊も
どっか行くだろう、
って言ってたから。
でも、どこにも
行かなかったんだ。
女の子は話を突然遮って、
「ずっとこっち見てる。
やばい。もう行こう」
って言い出した。
ここまでは、まだ
ドッキリとかもありえる。
この子は分が悪くなったから
場所を変えるんだ、
そう思ってた。
だけど・・・、
例の女の子が急に全速力で、
何かから逃げ始めた。
その子は二つの建物に
分かれている校舎を、
何週も全速力で走っていた。
時々後ろを見ながら、
「まだ追ってくるー!!」
って言ってた。
その時、初めて
「あ、こいつは嘘をついてない。
冗談であの全速力はない」
って思った。
あとから聞いた話、
結局、その子は
下駄箱まで逃げ切り、
幽霊は学校の外まで
来れなかったんだって。
荷物とか靴とかも、あとで
友達に持ってきてもらったそうだ。
それ以降、俺たちは、
その部屋をだんだん
使わなくなって、
その女の子は転校してしまった。
だからその話を確認出来る奴は
誰もいない。
(転校した女の子以外の
メンバーは忘れちゃった・・・)
(終)