電車内で感じた強烈な視線の先

夏の電車内。

 

満席で、どこにも座る

スペースがなかった。

 

仕方なく、開閉ドアの

端に背もたれて、

 

カバンから週刊誌を

取り出そうとした時、

 

視線に気付いた。

 

これは実話ですし、

何の脚色もありません。

 

また、時刻などが

定かではないです。

 

その時の状況も、

 

座れないでいる人間が、

私一人であるということ・・・。

 

そして、

 

席がほぼ満席である

という事を除いて、

 

覚えていません。

 

視線の主が分からない。

 

しかし、

気にするほどの事でもなく、

 

再び、週刊誌に目を通した。

 

すると、

辺りの雰囲気というか、

 

少し空間が「ぐにゃり」と

歪んだような気がした。

 

その時、

瞬時に「ヤバイ」と感じた。

 

先程より強烈に視線を感じ、

 

一つ向こうの座席シートに居る、

うつむいた少女に気付いた。

 

少女はうつむいていたので

「彼女かな?」と思いましたが、

 

それでも何という事はなく、

変な気持ちでいた。

 

週刊誌を読んでいるのか

何を読んでいるのか分からない、

 

そんな感覚でいたが、

 

今度はすぐ耳元で

囁くような声が聞こえた。

 

「○○○○○は・・・○○○ぞ!」

 

今思うと、

日本語なのかも分かりません。

 

そして再び

少女の方を見ると、

 

うつむいていた少女が上目遣いで、

私の方を凝視している。

 

私は怖さで

目を逸らせずにいたら、

 

少女がうつむいたまま、

ニタ~と口元をほころばせた。

 

それでもその目はぎょろりと、

 

怒りのような表情で

私に向けられていた。

 

腕の極端に細い、

髪の長い、色の白い・・・。

 

そんな印象を記憶しています。

 

目的の駅に降り、

駅の階段を降りる際、

 

ホームの方を振り返りました。

 

ホームの真ん中に佇む

その少女は、

 

階段を降りる私の方を

やはり凝視しており、

 

私は足が竦み、

しばらく呆然としていると、

 

突然、少女が私の方へ

全速力で走り出しました。

 

当然、

改札に向って逃げ、

 

タクシーを拾い、

その場を離れました。

 

細かい所は覚えていません。

 

が、それもそのはず。

 

あの時は周りを見る

余裕なんてなかった。

 

(終)

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