夢の中だけに現れる私のヒーローが

幼い頃から、夢を見ると

たまに男性が現れる。

 

現実の世界では会った事のない、

見知らぬ人だ。

 

その男性は私が夢の中で

 

危険な目に遭ったり

怖い場面になると、

 

必ず現れて

私を助けてくれた。

 

アパートで一人暮らしを

していたある日、

 

ドアをノックする音がした。

 

ドアを開けると、

 

夢の中に出てくる、

あの男性だった。

 

「やぁ、来ちゃったよ」

 

「よく来たね。まぁ上ってよ」

 

何故か私は驚きもせずに、

男を家に上げた。

 

ビールでも飲もうという

話になったが、

 

つまみはキャベツくらいしか

なかった。

 

「待ってて、

千切りキャベツ出すから」

 

そう言って、台所で

キャベツを刻んでいると、

 

急に金縛りに遭い、

そして気を失った。

 

気づいたら私は

布団の上にいた。

 

「なんだ・・・

夢だったのか・・・」

 

そう思いながら、

ふと台所を見ると、

 

まな板の上に途中まで刻んである、

キャベツの千切りがあった。

 

(終)

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