何もないはずの空間に反応したカメラ
3年前の秋、ちょっと怖かった実体験の話を。
当時、広島に長期出張に行っていた俺は、休日には色々な場所を観光して回っていた。
特に宮島の自然と厳島神社に感動し、ぜひ思い出を記録に残したいと思ってデジカメを購入した。
さほど高い物ではなかったが、カメラなんて携帯の機能に付いているものぐらいしか使った事がなかったので、凄いテンションが上がった。
早速マンスリーマンションに帰って充電を終え、試し撮りをしようと日の沈んだ街に繰り出した。
ちょうど近所の神社で祭りをやっていたのを撮って回ったり、意味もなくその辺の子猫を取って回ったりと、新しいおもちゃを手に入れた子供になった気分だった。
そして、帰り道にある平和記念公園(原爆ドーム周辺)をぐるっと撮って回って帰ろうと思い、カメラを構えて電源を入れたその瞬間・・・。
何もないはずの空間に、カメラの顔認識ポインタが5つ一斉に反応した。
驚いて肉眼で見てみたが、目の前には人どころか動いているものもない。
再度カメラを向けてみたが、今度は何も反応はなかった。
何か怖くなり、近くの居酒屋に駆け込んだ。
単にセンサーの誤動作だとは思いたいのだが、それ以降は他にこんな事は一度も起こっていない。
平和記念公園という場所柄、本当に怖かった。
(終)