今までで一番怖かった話を聞かせて
私はオカルトが大好きです。
でも私自身には霊感などは全く無く、仲良くなった人と怪談話で盛り上がるのが好きでした。
この話は今まで生きてきて一番怖かった体験です。
だから言いたくなかったのに・・・
友達の紹介で知り合った男性の伊藤くん(仮名)と仲良くなり、二人で度々会うようになりました。
といっても、ファミレスでくだらない話を何時間もする、という類のものでした。
ある日、何かの話の流れで「幽霊とか見たことある?」と伊藤くんに尋ねました。
すると伊藤くんは「幽霊とか信じてるの?自分は見たことあるの?」と、なぜか真剣な顔で返してきました。
もしかして失礼だったかな?と思い、「私は全然見えないよ。ただ怖い話が好きなだけ」と正直に答えました。
それを聞いた伊藤くんは、「信じてもらえなくてもいいけど、俺は見えるよ」と答えました。
それ以降、伊藤くんは私がどうしてもと聞く時のみ、自分が見たことのある霊の話をしてくれるようになったのです。
しばらくして、私は「伊藤くんが今までで一番怖かった話を聞かせて」と言いました。
しかし伊藤くんは「それは教えられない」と、決してその話をしようとしませんでした。
そう言われるとどうしても聞きたくて、私は伊藤くんに会う度に「話して話して」とせがんでいました。
そんな私に根負けしたのか、とうとう伊藤くんは話してくれました。
「今まで自分が見て一番怖かった霊は、自分だよ」と。
伊藤くんは両親や兄弟、仲の良い友達、そして自分の霊を見たことがあるそうです。(もちろん皆さん健在)
それも、現在の姿ではなく、年老いた姿で現れ、「俺(私)は、○○歳で死ぬ」と呟き、そして笑うそうです。
もちろんこの話は怖かったのですが、私にはとても信じられる内容ではありませんでした。
ただ、一つ気になることがありました。
そして、それを聞かずにはいられませんでした。
「もしかして・・・私も来た?」
伊藤くんは少し躊躇った後、頷きました。
その直後、私たちが肘を置いていたテーブルがガタガタと震え始め、グラスに入った水が揺れました。(地震ではなく、周囲を見ても私たちのテーブルだけが揺れていた)
しかも、肩が鉛を背負ったみたいに重くなっていき、体が全然動かなくなりました。
そして伊藤くんは言いました。
「今もいるんだよね、○○ちゃん(私)の隣に○○ちゃんが。だから言いたくなかったのにな」
今思い出しても本当に怖いです。
その時に痛感したのですが、私は怖い話や幽霊話が大好きと自分で言いながら、実際には全く信じていなかったのかもしれません。
もちろん伊藤くんの話も。
それから色々あり、今は伊藤くんとは連絡を取っていません。
(終)
色々って言うのはまた怖い話絡みなんかね?
それ絡みで決定的な事柄があったとか…?