相場の2倍の時給につられて行ってみたが

工場

 

昔、ある電子会社でかなりの高給バイトがあった。

 

仕事の内容は、夜中に工場で完成した機械をテストするだけ。

 

俺は相場の2倍の時給につられ、後輩を誘って行ってみた。

 

始業は深夜0時からで、夜の従業員は俺と後輩の2人きりだった。

 

その仕事を始めてしばらく経った頃、誰も居ないはずの2階から、子供の走り回る足音やキャッキャッと楽しそうな戯れる声が聞こえてきた。

 

しかし、時給が良いし仕事も楽だからと我慢していた。

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やっぱり出た?いやぁ~あの工場ね・・・

そのうち、足音は階段を降りて来て、俺達の周りをバタバタと走り回るようになった。

 

そんな中、後輩は半べそをかきながら日々働いていた。

 

次第に幽霊達の行動はエスカレートしていき、工具やらが動くようになった。

 

そんなある日、幽霊達は俺の背中にブチ当たりながら工場を走り抜けたので、それに怒った俺は一喝した。

 

「この亡霊ども!成仏せいっ!!」と。

 

その瞬間、俺達のいる工場内の蛍光灯が1本残らず傘の根元の部分から取れて降り落ちてきた。

 

30坪くらいのワンフロア一面が、割れた蛍光灯で覆いつくされた。

 

後輩は、鼻水を垂らして涙目になっていた。

 

俺達は朝になってから本社ビルへ行き、担当の方に昨夜の出来事と退職を申し出た。

 

すると、「やっぱり出た?いやぁ~あの工場ね、戦時中は保育所だったんだよ。空襲で焼けて子供が20人くらい死んでてねぇ。前から出るんでバイトが続かなくてねぇ・・・」と。

 

今から26年前、まだ俺が学生だった頃にそんな事があった。

 

その会社は移転したが、まだ続いている。

 

工場は取り壊され、後に家が建った。

 

新築なのに安かったので先述の後輩がローンで買ったが、3年くらいで売却することに。

 

後輩曰く、「まだ出るから売った」だそう。

 

大阪の西淀川区花川で実際に体験したお話だ。

 

(終)

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One Response to “相場の2倍の時給につられて行ってみたが”

  1. tak66 より:

    保育所の制度できたの戦後間もなくだけど。

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