空白の時間

10年程前の出来事です。

 

私の家に、友人が

訪ねて来ることになっていました。

 

その友人は、私の家に

初めて来るのですが、

駅からほぼ道なりなので

迷うことなく来れるはずでした。

 

約束の時間の30分くらい前に

「今、駅にいる」と、

友人から電話がありました。

 

私は家までの道順をもう一度説明して、

電話を切りました。

 

駅から家までは

20分程度で着くので、

頃合を見計らって、

2階から道を見ていました。

 

ところが30分経っても、

40分経っても、

友人が来ないのです。

 

「道なりに歩いて来て、

最初の信号を右」

 

これだけの道順なのに・・・。

 

当時は携帯電話などなく、

家には私一人だったので

空けてしまうわけにもいかず、

ソワソワしながら待ちました。

 

1時間半近く経ったところで、

友人が現れました。

 

駅というのは、

これから電車に乗る駅のことだったのか、

と思い、ほっとして、

友人を迎え入れました。

 

勘違いをして、

ずっと気を揉んでいたことを

笑いながら友人に話したところ、

 

「私が電話したのは

○○駅(私の家の最寄り駅)だよ」

と言いました。

 

そして、私の家の時計を見て

「えっ!?もうこんな時間?」

と驚くのです。

 

話を聞くと友人は、

降りた駅から電話をして、

まっすぐ迷いもせずに

私の家まで来たというのです。

 

そんなはずはない、

駅から家まで

20分程で着くのだからと言うと、

友人は1時間半も

歩いたつもりはないと言いました。

 

友人は、

その駅で降りること自体

初めてだし、

途中コンビニなど

寄り道できるところもないので、

嘘をついているようには

見えませんでした。

 

ただ、一つ妙なことがあったそうです。

 

坂を登っている最中、

足元を急に猫か何かがサッと通り過ぎ、

驚き転びそうになり、

電柱に額をぶつけたのだそうです。

 

一瞬、目の前が真っ暗になり、

次に目を開けた時に

頭をぶつけたはずの電柱から

2,3メートル離れた所に

立っていた・・・、と。

 

でも、ほんの一瞬だったと思うし、

その道はバスが通る道なので

長い間倒れてほっておかれたとは

考えにくいのです。

 

一体何があったのかは

今でも分りません・・・。

 

(終)

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One Response to “空白の時間”

  1. 匿名 より:

    道なりというのは住んでる者の感覚で、駅から20分は普通に迷う距離。
    で実際に迷ったから、気を遣って話を作っただけよ。
    道案内が下手くそで迷った。と言われなかっただけ良かったね。

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