無意識なら出来るけれど気づいたら出来ない
これは、よく日頃から体験している不可解な話。
僕が大学生の頃のこと、寝坊をして朝10時から講義が始まるのに9時30分に起きた。
あと30分だと、直ぐに部屋を出て自転車を全速力で漕げばギリギリ間に合うくらいなので、大慌てでアパートの階段を下りてママチャリで走り出した。
何が起きている?
しかし、ちょっと走った所で直ぐ信号に捕まり、テンパりながら時計を確認していたけれど、そこで家の鍵を掛け忘れていることに気づいた。
もちろん、家の鍵は部屋の中に置いたまま。
戻って鍵を掛けて遅刻するか、部屋の無事を信じてそのまま大学に向かうか悩んだのだけれど、そこで部屋の鍵が付いたキーリングにママチャリの鍵も付いていることに気づいた。
僕のママチャリの錠はよくある備え付けの半円状の物で、解錠しないことには絶対に後輪は回らないように出来ている。
あれ?と思って後輪を見るとしっかり施錠されていて、自転車を前後に動かしても錠のせいでタイヤが回らなかった。
その日を境にこういうことが時々あり、彼女の家に呼ばれた時には、扉を開けて中に入ってから鍵とドアチェーンが掛かっていることに気づき、彼女に不気味がられたりもした。
ただ、こういったことを意識してやろうとしても絶対に出来なくて、何気なく開いていると思って扉を開けたりする時に起こる。
なので、まかり間違って犯罪のようなことだけはしないように日々気をつけている。
上記と類似する別人の体験談
これは、ある日の夕方のこと。
僕が自室で本を読んでいると突然、窓を「バン!バン!」と叩く音がした。
ビックリして振り返ると、友達の秋葉君(仮名)が興奮しながら窓を叩いていた。
「○○君!開けて開けて!」
僕が慌てて窓を開けると同時に、物凄い勢いで秋葉君が話し出す。
「あのさ、ついさっきの話なんだけど!」
「ちょ、ちょっとまって秋葉君。その前にさ・・・」
「まあ聞けって。さっき自転車乗ってたんだよ。河原走ってて」
「・・・うん」
「しばらく走ってて、何かおかしいな~って思って自転車から降りたらさ・・・」
「どうしたの?」
「自転車のチェーンを掛けたまんまだったんだよ!」
「えっ?」
「だから、チェーンが掛かっててタイヤが回らなかったの!」
「・・・?それでどうやって走れるの?」
「分かんないよ。その時までは走れたんだよ。でもさ、その後はダメだった」
「ダメって?」
「チェーンが掛かってるってことに気づいたら走れなくなっちゃった」
「そうなんだ・・・」
「無意識だから出来たのかなぁ・・・。あっ、○○君、さっき何か言いかけてなかった?」
「え?・・・あ、うん・・・あのさ・・・」
「???」
「ここ、5階なんだけど、秋葉君、どうやってそこに立ってるの?」
(終)