消灯直後に聞こえてきた荒い息遣い
これは、僕と弟が体験した怖かった話。
僕が高校生の時だった。
僕には6つ下の弟がいるのだが、当時は居間以外に僕の部屋にしかゲーム機がなかった。
なので弟は、夜な夜な僕の部屋に忍び込み、PS2で遊んでいた。
弟がゲームをする時は僕が壁際のベッドに居て、弟はベッド横の床に布団を敷き、ゲームをしながら寝落ちする、というのがいつものパターンだった。
その日も弟は僕が布団に入ってからも、テイルズオブジアビスというRPGゲームをしていた。
なぜか寝付けなかった僕は、弟のプレイをぼーっと見ていた。
しばらくして弟は、ゲーム機とテレビを消して床に就いた。
すると、部屋の明かりを消して1分も経たないうちに、弟が寝ているベッド下の脇の方から「はぁぁぁ・・・はぁぁぁ・・・」と荒い息遣いが聞こえてきた。
僕は弟が寝苦しくて息荒くしているのかと無視していたのだが、一向に止む気配がない。
わずかの間を置いて、弟がムクッと布団から起き出し、こちらに近づいてきた。
「兄ちゃん、苦しいならお母さん呼ぼうか?」
僕は弟が何を言っているのかわからなくて、「何で?」と聞くと、「兄ちゃんがずっとはぁはぁ苦しそうだから」と。
もちろん「はぁはぁ」言っているのは僕ではないが、弟が言うには「僕が寝ている方からはぁはぁ言っているのが聞こえた」と。
とにかく怖かったので、すぐに部屋の明かりをつけて、その夜は抱き合いながら寝ることになった。
ただ、あの息遣いが何だったかは未だにわからない。
それ一度きりでもあった。
(終)