他人の子供たちにお菓子を与える謎のお爺さん
これは、僕が小学2年の夏休みの時に体験した少し奇妙な話。
その日、外で遊んでいると、同じ学校の生徒たち20人くらいがゾロゾロと歩いていた。
その中に僕の友達がいたので声をかけると、「一緒に来いよ!」と誘う。
集団の先頭には、童話にでも出てきそうな紳士風のお爺さん。
もちろん、そのお爺さんのことは知らない。
行き先はスーパーのようで、店に着くや、みんな一心不乱にそれぞれカゴにお菓子を詰め始めた。
友達に「どういうことなの?」と聞こうとするも、興奮状態で僕の言葉は聞こえていない様子。
すると、お爺さんに「君も好きなだけどうぞ」と言われたけれど、「僕はいいです・・・」と少し離れてその奇妙な光景をじっと見ていた。
その後はみんなレジ袋いっぱいのお菓子を抱えて、お爺さんにお礼を言って解散に。
直後に友達から、「お前、なに遠慮してんだよ~」と言われていたら、お爺さんがスッと飴を1本くれた。
形状はチュッパチャップスのような飴なんだけれど、何か違う。
包み紙が古い世界地図みたいで、なんだか洒落ていたのを憶えている。
家に帰って母に話したところ、「何それ?アンタも買ってもらったの?」と怒られそうになったけれど、「一緒に行ったけれど買ってもらってないよ」と話した。
ただ、飴のことは何となく言わなかった。
その夜、せっかく貰ったし・・・と飴の包みを剥くと、中の飴はこんにゃくのような変な色だった。
臭いも埃っぽく、気持ち悪くなってすぐに捨てた。
翌日、友達に詳しく聞こうとしても、「まあ別にいいじゃん」と笑われて相手にされなかった。
今でもふと思う。
何だったんだろう、あのお爺さん・・・。
(終)
~以下、「類似する別の話」に続く~
類似する別の話
これは、インドでの話。
3人ほどの友達同士で河原で遊んでいたところ、河原の上流からお爺さんが歩いて寄って来て、ニコニコとしながらお饅頭のようなお菓子をくれた。
インドでは大人が知らない子供にお菓子をあげるのはよくあるので、貰ったお菓子を食べようとすると、子供の一人が「食べちゃダメだ!」と言い出した。
理由を聞くと、「あのお爺さん、川岸の向こう側から水の上を歩いて渡って来たから人間じゃない」という。
ただ、他の子たちには普通に河原を歩いて来たように見えていた。
怖くなった子供たちは相談した結果、お寺へ行くことにした。
貰ったお菓子を持ってお寺に行くと、急にお菓子が持っていられないほど熱くなり、地面に落としてしまった。
お寺のお坊さんに経緯を話をしたところ、「もう大丈夫だから気をつけて帰りなさい」とだけ言われて無事に帰ったという。
(終)