深夜の監視カメラのモニターに映るもの

カラオケ

 

これは今も実際に起こっている、ほんのりと怖い体験談です。

 

今月からカラオケ店の深夜バイトを始めて、3日前からフロント業務を教わっています。

 

すると、先輩からこんな一言が。

 

「あ、そういやここ、モニターに変なの映るから」

 

そう言って、カウンター内部にある監視カメラのモニターを指差しました。

 

「え、何ですか?」と聞くと、「ちょっと見続けてみ」とだけ言う先輩。

 

じ~っと見続けること数十秒・・・。

 

「ほらっ!」とモニターを指差す先輩。

 

目を凝らして先輩の指先を追ってみると、映像の中に『奇妙な発光体』が映っていました。

 

その発光体は突然出現し、フラフラと宙を彷徨った後に消えてしまいました。

 

「埃とか虫とかじゃないんですか?」と聞くと、「いやいや、さっきあそこ通った時に虫なんていたか?それとな、こいつは深夜2時から4時くらいまでしか出てこないんだよ。ほらっ、また!」と、再びモニターを指差す先輩。

 

見ると、今度は発光体が4体ほどフラついていました。

 

「多っ!」とツッコむと、「今日はお客さん多いからな。オーブさんも喜んでるじゃないかな」と先輩。

 

「オーブさんて・・・。みんな知ってるんですか?コレ」

 

「まあな。ねぇ、○○さん(横にいた別の先輩)

 

「おぅ」

 

なんでも、店長や社員さんも全員がご存じだそうで。

 

「大丈夫なんですか?怖くないんですか?」と聞くと、「ん?今のとこ害は無いし、覗いてると暇潰しになるし」と先輩。

 

こういうのを肉眼で見るのが初めてだった私は、しばらくモニターに夢中になりました。

 

そうして今日も昨日もオーブさん三昧で今に至ります。

 

先輩から色々と聞いたりして、そのオーブさんの特徴も掴めてきました。

 

・深夜2時から4時くらいにのみ出現し、5時くらいまでいると「お、今日は元気だな」と先輩が言う

・大きさはハエくらいに小さいものから電球くらいに大きいものまで

・少なくとも5分に1体は出現し、多い時は一気に7体くらい出現

・お客さんが多く賑わっているとオーブさんも増える

・お客さんが部屋に入って行くと一緒に入っていくものもいて、お客さんが帰ると部屋から出て見送っている

・廊下に面した厨房の出入口付近から出現することが多く、外と繋がっている別の厨房の出入口先には線路が通っていて人身事故が多い

 

こんな感じですが、今ではなんだかオーブさんが可愛く思えてきました。

 

ただ、先輩が余計な一言を。

 

「オーブさんだけならいいんだけどな。たまに”足だけさん”とか、”立ちっぱさん”とか映るから」

 

「え?それって・・・」と聞くと、「まぁ、そのうち見れるよ。こっちははぐれメタル並に出てこないから」と先輩。

 

新たな出会いを期待していいものかわからないけれど、今夜も仕事に行かなくてはなりません。

 

(終)

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