キャンプの夜に起きた恐怖
友人が今年の夏にキャンプに行った時の話。
友人を含めた男3人と女3人の仲良しグループで、バーベキューしたりとそれなりにキャンプを楽しんでいた。
夜になって張ったテントに男女それぞれ分かれて寝ようということになったが、実は友人は女の子グループの一人とこっそり付き合っていて、みんなが寝た頃にテントを抜け出してどこかでイイコトしようと企てていた。
友人は他の二人が寝るのを待っていたらしいが、そのうちいい感じに寝息を立て始めた。
そろそろ抜け出そうかと思った矢先、外から「ガサッ、『ケン』、ガサッ、『ケン』、ガサッ、『ケン』・・・」と、音とも声ともつかないものが聞こえてきた。
女の子の身に何があったのか・・・
その音は遠くの方から近づいて来ていて、ちょうど友人と女の子たちのテントの周りをぐるぐる回っている感じで聞こえたらしい。
初めは「犬か何かかな?」と思っていた友人も、段々と薄気味悪くなってきた。
テントから出るのを躊躇して、一緒に抜け出す約束をしていた女の子にメールを送ったそうなのだが、彼女はマナーモードにしていなくて隣のテントから着メロが鳴った。
着メロが鳴った途端、外から聞こえていた音や声が女の子たちのテントに集中し始めて、その間隔がどんどん早くなっていった。
友人は女の子たちの身に何かあったら・・・というのと、メールして音を鳴らしてしまった罪悪感で、堪らずテントから飛び出した。
すると、女の子グループの一人(彼女とは別の子)が、手足をめちゃくちゃに振り回しながら狂ったように大笑いしてテントから走って行った。
付き合っていた女の子はワンワン泣き喚いていて、友人が駆け寄って話しかけても答えられないぐらいの有様だった。
辛抱強く友人は彼女を慰めて、どうにか落ち着いた彼女が話してくれた。
着メロが鳴って他の女の子二人が起きたが、そのうち一人が起きた瞬間からすごく低い声で「ケンケンケンケンケン・・・」と笑いながら呟き始め、その後にテントから飛び出して行ったそうだ。
友人はその後、他の男二人を叩き起こして、みんなで居なくなった子を探しに行った。
明け方にようやく見つけたが、その女の子は目の焦点が定まらない感じで、足取りもフラフラしており、呼びかけにも答えられない状態だった。
キャンプを早々に切り上げて、みんなでその女の子を病院に連れて行ったが、詳しい原因は分からなかった。
やむなくその女の子の親に連絡して駆けつけてもらい、親から「後は私に任せてください」という言葉をもらって帰って来たんだそうだ。
そんな事もあって、友人は彼女との関係もあまり長続きせず、最近別れたそうだ。
(終)