突如大量発生した虫と相次ぐ怪我
去年の夏、うちに突然1~2ミリくらいの赤茶色の虫(おそらくシバンムシ)が飛び交うようになった。
特に何をするってわけじゃないけれど、気づいたら壁や天井を這ってたり、今まで見た事も無い虫なのに突然大量発生したから不気味だった。
発生源を探したけれどなかなか見つからず途方に暮れていたが、その夏から秋にかけて家人が次々と右脚を怪我した。
押入れの奥から出てきたものとは
母は包丁を取り落として、右足の甲を突いた。
父は階段から落ちて、右脚の半月板と靭帯を損傷。
私は自転車にぶつかられて諸共に転倒、そして右脚を骨折。
弟は朝起きたら右足親指の爪が剥がれてシーツが血まみれに。(原因は不明)
さすがにこれは何かあるんじゃないか?霊能者の出番か?と真剣に話し合ったけれど、そんなツテがあるわけもない。
もう一度家捜しして、虫と怪我続発の原因が分からない様だったら、近所の寺にでも相談してみようってことになり、比較的軽症だった母と弟が右足を引きずって大捜索。
そうして母の部屋の押し入れの奥から、カサカサに乾いた新聞紙に包まれた人形が入っているであろうサイズの箱が見つかった。
家人は誰もそんな箱に覚えがなくて、嬰児死体とか入ってるんじゃないだろうな、とビビリながら開けてみた。
※嬰児(えいじ)
生まれたばかりの赤ん坊。ちのみご。乳児。
すると、乾燥した植物ならなんでも食うという甲虫に、右足を中心に食われて悲惨な事になった古いビスクドール(19世紀にヨーロッパのブルジョア階級の貴婦人や令嬢たちの間で流行した人形)が出てきた。
父は「お寺に預けて供養しろ!」と主張したけれど、母が人形を可哀相がって、知り合いに頼んで首から下とウイッグと服を新調してもらった。
今も人形はうちにあるけれど、それ以降は特に困ったことは起こっていない。
しかし、その人形がどこから来たのかは不明。
でも、母が心当たりあるような気もする・・・。
(終)