供えられた花が荒らされていたワケとは
これは、死亡事故現場にまつわる話。
よく通る道に花が手向けられている電信柱があり、通る度に供えられた花の種類が変わっていた。
なので、よほど大切な人を亡くしたんだろうなと気になって見ていた。
ある時、その電信柱の前を通ったら、その花が荒らされていた。
その花を供えていた人は実は・・・
次の日に通ると、花は綺麗に新しくなっている。
その日の夕方に通ると、また花が荒らされていた。
その後、荒らされる→新しい花→また荒らされる、というのが暫く続いた。
猫や鳥にやられたのかな?と思いつつ通り過ぎていたが、ある日に偶然にもその花を荒らしている最中の人を目撃した。
俺はとっさに車から降り、「何してるんですか!」と咎めた。
すると、こちらを向いた40~50代と思しき女性が、「○○ちゃんを返して!!」と号泣する。
俺は虚をつかれてうろたえながら、彼女を宥めつつ話しを聞くと、彼女は娘さんをここで亡くしたという。
娘さんは歩いていて、車に突っ込まれた。
車を運転していた男性も、この電信柱にぶつかった衝撃で亡くなった。
そしてこの花は、加害者の男性の家族が供えている。
その花を見る度に娘を思い出してしまい、いたたまれなくなって花を荒らすようになってしまった、といった感じだった。
「もうこんな事はしませんから・・・」
そう言って、泣きながらふらふら帰っていく彼女を見て、俺はやるせない気持ちになり、暫くそこに立ち尽くしていた。
(終)
1ミリも怖くないよぉ…(泣)