送られてきたDVDに映っていたもの 1/2
現在進行形の出来事で、
思い出すだけで背筋がゾッとします。
出会いは今から2年前です。
とあるゲームサイトの掲示板で、
M(仮名)という男と知り合いました。
Mとは掲示板で知り合って以来、
どんどん仲良くなっていきました。
そんなある日、
Mは俺と『メル友になりたい』と、
掲示板に自分のメアドを晒したので、
それ以降は掲示板ではなく、
メールでやり取りをするようになりました。
メールでは個人情報を暴露しあい、
Mは会社員の男性であることが分かりました。
1年ほどメールのやり取りを続けていた頃、
『送りたい物があるので、
住所と名前を教えて欲しい』
と、Mは言ってきました。
さすがに顔の知らない相手に、
住所や本名を名乗るのは抵抗あったけれど、
Mを信用した俺は、
住所と名前を教えました。
Mの目的は一体何だったのか・・・
それから1週間後、
自宅に郵便物が送られてきました。
それはダンボール箱で、
中には手紙とPS2のソフトが
沢山入っていました。
手紙には、『仲良くしてれてありがとう』
と感謝の文字。
しかし、
その手紙に書かれていた文の最後が
少し気になりました。
『あと1年だけ仲良くして欲しい』
とりあえず俺は、
Mにメールで感謝の気持ちを伝えると同時に、
あと1年ってどういうことだよ?
とメールで尋ねることにしましたが、
後にMから送られてきたメールには、
『秘密』としか書いていませんでした。
まあ~どうでもいいやと、
これ以上はMに尋ねることを
やめることにしました。
それ以降も、
Mから郵便物がどんどん届くようになりました。
漫画の本や音楽のCD、
それにゲームソフトなど。
さすがに貰ってばかりでは悪いと思い、
俺も要らないゲームソフトや漫画の本を
Mに送りました。
するとMからメールで、
『俺のところには送らないで欲しい』
と言ってきました。
なんでだろう?と思いましたが、
まあ~貰える物は貰っておこうと、
深くは考えませんでした。
そして去年のクリスマスの日、
いつものようにMから郵便物が届きました。
コピーされた1枚のDVDで、
アニメでもダビングしてくれたのだろうと、
そのDVDを早速観ることにしました。
すると、画面には何も映らず、
ザァーザァーと音だけ出していました。
なんだこれ?と思っていると、
いきなり画像が映り、
ボサボサの髪で無精ひげを生やした、
眼鏡を掛けている男の顔が
ドアップで映り込んだ。
何かの調整をしているような仕草から、
恐らくビデオカメラをセットしている
のではないかと思いました。
そして、男の顔が離れたと思うと、
そこの風景が映し出されました。
地面は汚い木床で、
本やゴミが散乱していました。
壁に貼られたポスターは剥がれていて、
男の部屋のような感じもしますが、
腰掛けとその上に吊り上げられた
輪の字のロープ以外は何もありませんでした。
その時、
嫌な予感はしたのですが、
その男は腰掛けに座ると、
ブツブツと独り言を言い始めました。
テレビのボリュームを大きくして、
耳を澄ましながら聞くと・・・
「愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ
愛子死ぬ愛子死ぬ愛子死ぬ・・・・・・」
この言葉だけを10分くらい言い続けました。
愛子って誰だろう?
この男と関係あるのかな?
そもそも、この男はMなのか?
喋り終わると男は腰掛けの上にあがり、
輪の字の縄に首を掛けました。
えっ?!え?!え!!
俺はまさか?と嫌な予感はしましたが、
見事に的中しました。
縄に首を掛けた後、
男は自分の足で椅子を蹴り飛ばし、
首を吊ったまま華奢(きゃしゃ)な男の体は
全く動かなくなりました。
ヒイイィィ!!
俺は吃驚(びっくり)のあまり、
腰を抜かしてしました。
しばらく放心状態が続きました。
そして落ち着いた後、
すぐにMへメールを送りました。
・・・しかし、
Mからメールは返ってきませんでした。
俺は心配になり、
何度も何度もMにメールを送りましたが、
結局は送り返してくれませんでした。
あの首吊り自殺の男性はMだったのか?
でもその時、
俺の頭には“ある疑問”が過(よ)ぎりました。
この自殺した男がMだったとしたら、
このDVDはどうやって俺に送ったんだ?
・・・そう考えただけで、
心臓が止まる思いをしました。