4年前に亡くなった祖母の置き土産
俺は普段あまり夢を見ないのだが、昨日は夢を見た。
これは、4年ほど前に亡くなった祖母の不思議な夢の話。
突然、スラム街のような場所にいた。
ぼーっと何故か道の真ん中にあるテレビを見ていたら、ばあちゃんがテレビに映り、喋りかけてきた。
「やっほー」
「おっ、ばあちゃん!久しぶり!」
まったく疑問に思わなかった。
「ケンちゃん元気かね?」※ケンちゃん(仮名)=俺
「おう!めっちゃ元気やで!」
「じいさまは?」
「あー、ばあちゃん死んでから若干はぶて気味やな」※はぶてる=すねる・いじける
「ははっ、あのバカたれは(笑)あ、△△と□□は元気?」※△=母、□=叔母
「ああ、あの二人は元気だよ。ばあちゃん元気なん?」
死んでいるのに元気もないが…。
「めっちゃ元気やで。毎日楽しいわぁ」
「そりゃええ(笑)あ、ばあちゃん死んでからその後に大震災あったんで。知っとる?」
「おお、知っとる知っとる。めっちゃいっぱい人きたけぇね」
「まじかぁ、その人らはどうしてんの?成仏とかしてんの?」
「ここええとこやけぇね、みな楽しくやりよんよ」
「へぇー。なぁばあちゃん、神様っておんの?」
「神様か(笑)おるっちゃおるね」
なんてばあさまだ…。
「まぁ楽しくやってるならええわ。で、今日はどうかしたんか?」
「いやな、そっちに忘れもんしてな。もう使えんし、それケンちゃんにあげようと思って」
「はぁ?忘れもん?なになに?」
「あたしが使いよった桐の箪笥あるやろ?あれ、よぅ調べてみぃさん。なんかあったらみなやるよ」
「ふーん、わかった。そんだけ?」
「そうそう、まぁ悪りぃもんやないからね。用はそんだけ。ほなね」
相変わらずサバサバしたばあさまだ。
そして目が覚めて起床した。
いつもは夢なんか全く覚えていないのに、不思議と明確に覚えていた。
起きてすぐ、祖父の家に行った。
桐の箪笥がある。
それまでちゃんと見たことがなかったので、初めて触る。
中には祖母の遺品の着物が沢山入っていた。
祖父に聞くと、死んでからまともに整理していないそうだ。
とりあえず着物を全部出して、箪笥を隅々まで調べてみた。
祖父は不思議そうな顔でチラチラと見ている。
調べていると、仕掛けみたいなのを見つけた。
仕掛けといっても、ただ二重底になっていただけだが。
開けてみると、なんと『札束』がいくつも入っていた。
思わず声を出して驚いた。
(終)
よかった、これを読んで死も恐くなくなった