ばばぁ!死んだら笑ってやる
去年の8月頃の話。
仕事の関係で、俺はほとんど日本にいなかった。
そして今回、半年ぶりに日本に帰ってきた。
帰ってきた港のすぐ近くには、祖母と叔父夫婦が住んでいる家があるので、土産を持って寄ることに。
そして、いつも通り「おいばばぁ!今年の夏は暑いけどくたばってへんやろな」と笑って言いながら家に入った。
だが、祖母の返事が返ってこない。
いつもなら、「お前こそ死んだと思ってたわ」と笑いながら出てくるのに。
代わりに出てきたのが叔父だった。
「ばあさん、3月に脳梗塞で・・・」
突然そう言われた。
慌てて祖父の仏壇のある仏間に行くと、祖父の遺影の横には祖母の遺影があった。
俺は大声を出して泣いた。
祖母が大好きだったのに、その死に目にも会えなかったのかよ、と。
すると突然、祖母の声が聞こえた。
「○○(俺の名前)、うちが死んだら笑ってやるって言ってたやないか!笑え!」
一緒にそこにいた叔父夫婦にも、しっかりと聞こえたらしい。
もうそこからは、俺も叔父夫婦も大笑いしながら大泣きした。
その時、滲んでよく見えない視界の隅で、遺影の祖母が笑ったような気がした。
(終)