黒い人「私でよければ手伝いますよ?」
これは、職場で体験した心霊話です。
私は某アイス屋で働いています。
結構前から、時々ですが『黒い人』が店の中を通っていくことがあります。
通るルートは必ず決まっていて、私たちが作業をする場所からバックヤードへトコトコと・・・。
その音は全員が間違いなく聞いた
正体を確かめようと思ってバックヤードまで追いかけたこともありましたが、すぐに姿を消してしまうので未だに何者なのか分かりません。
ちなみにですが、バックヤードは出入り口が一つしかなく、生身の人間ならどこにも逃げ道はありません。
私以外に見えている人がもう一人いて、そして二人で話し合った結果、「通ってるだけだし、ま、いっか」ということになりました。
そして2ヶ月くらい前のことです。
その日は休日で店が忙しく、私を含めスタッフ3人は右へ左へとキリキリ働いていました。
昼を過ぎてお客様が減ってきて、ちょっと余裕の出てきた私たち3人は作業場でシフトのことで色々とおしゃべりをしていました。
「土日に3人だけとかありえな~い」、「一人あたりのシフトの時間が長すぎる~」と、疲れてもいたので文句がタラタラ・・・。
とにかく3人じゃ足りないよ!と話が盛り上がったその時、「ガッ、ガーーーーーーーッ」とバックヤードに設置してあるタイムカードが作動する音が聞こえてきました。
その音は3人全員が間違いなく聞きました。
そして私たち以外は出勤していません。
それに、バックヤードへ行くには私たちがいる作業場を通らなければなりませんが、もちろん誰も通っていません。
心当たりがあるとすれば、あの『黒い人』しかいないのです。
もしかして、私たちが毎週ぐったりと疲れているのを気にかけて手伝おうとしてくれたのでしょうか。
「そうであれば黒い人ありがとう。でも接客は無理だと思うよ・・・。気持ちだけ受け取っておくね」
(終)