職場の特定フロアに常駐している魔物
※注意:この話を読むと呪われると言われています
これは、職場の特定フロアにだけ常駐している『魔物』のようなモノの話。
その魔物の格好は、スモークグリーンのズボンに、赤と白のストライプの半袖のシャツを着て、黄色のスニーカーを履いている。
魔物にしては、やけにカラフルだ。
見るな!人に話すな!
3頭身で、背丈は110センチくらいの小柄な女性。
もの凄く頭が大きく、顔のパーツが散らばっており、常に全力の笑顔をしている。
それも正常な精神の人ができる笑顔ではなく、完全にイっちゃっている笑顔。
その魔物が手をわちゃわちゃと振りながらコミカルな動きで寄ってくるが、「絶対に目を合わせてはいけない」と、新人の頃に厳しく指導された。
また、「視界の隅に入れるくらいならいいが、目を見てはいけない」とも。
ただそう言われても、かなりハッキリと見えるし(見えない人もいる)、気を引くような動きで寄ってくるので、どうしても視界に入ってしまう。
そんな時は俯いていると見えてしまうから、見える人はその魔物が寄ってくると天井を見上げてやり過ごしている。
その光景で、見える人と見えない人の区別がつく。
またそのフロアの人事は、なるべく見えない人だけで構成されている。
もしその魔物と目が合ってしまった場合、その人は卒倒し、それから必ず1ヶ月以内に本人か近しい身内が亡くなっている。
死因は事故だったり病気だったりと様々だが、それまで健康だった人が”突然死”するというパターンが多い。
当然ながら御祓いはしたが、力のない人のものは効かず、力のある人は「無理です」とお断りされると聞いた。
そしてこの春から、そのフロアを倉庫とサーバールームにする工事が始まるが、「工事の人たちは大丈夫なんだろうか?」と心配している。
会社は『あの存在』をどう説明するつもりなのか、とても気になっている。
この出来事について、他の社員がとうの昔にSNSなどでアップしているかと思いきや、いくら調べてもそれらしいものは見当たらない。
確かに、会社からは「人に話すな」と言われているが。
最後に文末で申し訳ないが、この話を聞いたり読んだりして知り得た人たちが、「昨日そいつを見た気がする」、「夢に毎日出てくる」、「家にいる」などと言って突然おかしくなった事例が複数あるという・・・。
(終)