夢を通じて未来を覗き見している

三日月

 

これは、うちの婆さんの不思議な夢のお話。

 

ここ10年、婆さんが『予知夢を見ている』ということが発覚しつつある。

 

婆さんは若い頃、学校の成績が常にトップで、都会で働くのが夢だったが、両親が婆さんを田舎に置きたがった為に断念した。

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夢と一緒!

婆さんは今でも「都会で働きたかった」と言う。

 

ただ憧れの余りか、婆さんは都会の会社で働く夢を度々見るようになったらしい。

 

その夢の内容を聞いてみると・・・。

 

「綺麗な部屋に皆が小さな画面に向かってパチパチと叩いている。たぶん高級なタイプライターで、本みたいに二つ折りに畳める」

 

「夜遅くでも中々帰れない日が続いて、上司に訴えたらハケ?とかいう人を雇ったと言った。珍しい名前だと思った」

 

「同僚がパナハラ?パワハナ?とかいうものでノイローゼになった。皆で相談しようとか録音しようとか言う。その録音機がすごく小さくて驚いた」

 

「シマホはどれがいいかと語り合った。シマホは電話なのにビデオも見れるものらしい」

 

これらの夢の話は、私の母が子供の頃から聞かされていた。

 

45年以上も前だ。

 

私も聞かされていた。

 

話に出てくるハケ?とは、おそらく派遣社員のことだろう。

 

折り畳みのタイプライターはノートパソコンで、パワハナはパワハラ。

 

シマホはスマートフォンだろう。

 

婆さんは未来の社会の片鱗を、夢を通じて覗き見していたのだろうか。

 

ちなみにノートパソコンを買って見せた時は、「夢と一緒!」と大喜びした。

 

そんな婆さんは、今でも夢の話をしてくれる。

 

最近では、「シートピーシーとやらをクリアファイルに挟み・・・」だとか、「ゼリーの冷蔵庫が・・・」という話がよく出てくるが、予知夢かどうか分かる日がいずれ来るかもしれない。

 

シートピーシーとは、巻物のように巻ける薄型で柔軟性のある次世代タブレット

 

ゼリーの冷蔵庫とは、ゲルを用いたバイオロボット冷蔵庫

 

(終)

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