ギャンブルを一切やらなくなったワケ
きっかけは夢で起こったことだった。
サイコロを振って”出た目に書かれてある物が手に入る”という夢で、そのサイコロの6つの目の内5つはいずれも大金や地位、名誉が得られると書かれてあった。
ただ一つだけ『死』という絶望的な目があるが、それを除いては願ってもないビッグチャンスな代物である。
サイコロは最大3回まで振ることが出来るが、1回で止めてもいい。
なんとなく嫌な予感はしたが、試しに1回だけ振ってみた。
ギャンブルは常に死と隣り合わせ
夢の中での予感や想像はほぼ確実に起こる前兆であり、それらは自ら引き起こしたと言っても過言ではないと思う。
そう、あろうことか『死』を引いてしまったのである。
一気に血の気が引き、冷や汗が吹き出し、呼吸が荒くなる。
周りにいる人間は「仕方ない」「仕方ない」と他人事のように囁き、どいつも薄気味悪い笑みを浮かべていたのを覚えている。
そしてすぐさま俺を”どうやって殺すか”の談議が始まり、手足を固定する椅子のような物や大きいノコギリ等も持ち出してきた。
いよいよ身の危険を感じ、椅子に無理やり座らせられたところで、強制的に夢から覚めるというルール無視の卑怯な方法でなんとかその場から脱出した。
この夢のおかげで、その日からギャンブルは一切やらなくなった。
(終)