夜行列車で出会ったおじいさんと若い女性
6年程前、出張で松江に行った時のこと。
昔からブルートレインに乗ってみたいと思っていたので、東京駅から夜行列車に乗った。
乗ったのはB寝台車で、他の客とカーテンだけで区切るというもの。
隣や上段にどんな人が来るのか少し興味があった。
そして来たのは隣だけで、おじいさんだった。
運命の赤い糸
おじいさんと軽く挨拶を交わし、ベッドメイクをしたり本を読んだりと、お互い自分の時間を過ごす。
そして夜11時頃、フリースペースと呼ばれる車両へ移った。
元々は食堂車だったが、今は営業していない。
適当な席に座ろうと思ったら、あのおじいさんもここに来ていた。
目が合ったので、おじいさんがいるテーブルの席に座った。
おじいさんはこの食堂が営業している頃からすでに常連のようで、昔話を聞かせてくれた。
新しく出来た寝台列車も気に入ったが、この列車の方が愛着があるのだという。
日付が変わり、「そろそろ寝ましょう」ということになってベッドに戻る。
翌日、松江に到着し、降りる前に終点まで乗るおじいさんに一言お礼を言うと、「こんなもんしかないが・・・」と飴をくれた。
昼食を食べた後、その飴を舐めた。
飴は和紙に包まれていて、カラフルで綺麗だった。
でも味が全くしなかった。
仕事が終わり、再び夜行列車で東京へ戻る。
この日は自分の隣にすでにお客さんが乗っていた。
同年代くらいの若い女性で、軽く会釈を交わす。
まさか若い女性が乗るとは思っていなかったので少し緊張に。
今回もまたフリースペースへ行き、駅で買った駅弁を食べつつ本を読む。
しばらく経ってから自分のベッドへ戻ると、女性が自分と同じ本を読んでいた。
思わず「一緒の本ですね」なんて声をかけてしまったが、女性も偶然の一致に驚いていた。
折角なので少しお話をしてみると、女性は出雲へ旅行で来たようで、メインは出雲大社だったそう。
お互い波長が合うようで、連絡先も交換した。
その後、その女性は彼女となり、今は妻に。
そして最近、妻があの味の無い飴を出雲でおじいさんから貰っていたことを知り、自分も貰ったと告げる。
お互い「不思議だね~」と言いつつ、あの飴は『運命の赤い糸』的なもので、おじいさんは縁結びの神様だという結論にしている。
(終)
リア充爆発s(ry