石積みの封印が解かれるとき

石積み

 

五島で生まれ育った親父の、子どもの頃の話。※五島=長崎県の離島(五島列島)

 

友人たちと山の中で遊んでいたとき、一人の子どもが『石積み』を蹴り倒してしまった。

 

それは、本当に無造作に山の中にぽつんと置かれていた石積みだったので、誰も特別な意味があるものだとは思わなかった。

 

しかし、それから程なくして、石積みを蹴り倒した子どもが、妙なことを口走り始めた。

 

「呼んでる……」

 

そう言うと、その子は突然、全力で走り出した。

 

向かう先は、崖だった。

 

友人たちは慌てて追いかけ、取り押さえようとしたが、彼は子どもとは思えないほどの凄まじい力で、なおも崖を目指して進もうとする。

 

「いよいよこれはマズい!」というところで、親父たちはその子をボコボコに殴り、気絶させた。

 

しばらくしてその子が目を覚ますと、彼はすっかり正気に戻っていた。

 

話を聞いてみると、石積みを蹴り倒してすぐに、“崖の方から自分を呼ぶ声が聞こえてきて、どうしてもそこへ行かなければならない”、という衝動に駆られたのだという。

 

親父と友人たちは恐ろしくなって山を下り、大人たちにそのことを話した。

 

すると、その山はかつて平家の落人たちが隠れ住んでいた場所で、あちこちに“彼らを埋葬した塚”があるのだという。

 

崖に呼ばれた子どもが蹴り倒した石積みも、どうやらそんな塚のひとつだったらしい。

 

(終)

AIによる概要

この話が伝えたいことは、「見た目には何の変哲もないものにも、深い意味や歴史が込められていることがある」という教訓です。

特に自然の中や土地に古くからあるものには、人々の思いや祈り、時には怨念のようなものが宿っているかもしれず、それを軽んじたり無闇に壊したりすることで、思いもよらない災いを招くことがあるのだという、ある種の畏敬の念を持つべきだということを伝えています。

また、現代では忘れられがちな「目に見えないものへの敬意」や、「昔からその土地に根付く言い伝えや風習を無視してはいけない」というメッセージも込められています。親父の子ども時代の不思議な体験を通じて、自然や歴史、見えない世界に対しての敬意と慎重さを忘れてはいけない、ということを語っています。

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