見られているのはこちらだった

我が家に起こった話を聞いてください。
私の家は、父が建てた築40年ほどの2階建てなのですが、3年前、その東側の空き地にアパートが建ちました。
それほど広い土地ではなかったため、よくある1棟に4部屋の小さな建物です。
駅に近いこともあってか、完成してすぐに全室が埋まりました。
ところが、1ヶ月もしないうちに引っ越しがあり、それ以降も入居と退去が頻繁に繰り返されています。
長くても2ヶ月以内には誰かが出ていく状況でした。
しかも、それが決まって2階の西側の部屋ばかりなのです。
やがて近所でも「何かあるのでは?」と噂になり、みんな気味悪がっていました。
私も家族の手前、あまり気にしないようにはしていたのですが、やはりどこかおかしいと感じていました。
そんな中、先月のことです。
そのアパートの管理会社から「ご相談があるのでお会いしたい」と連絡があり、私は承諾しました。
やはりあの部屋のことか、と思って話を聞いてみると、「大変申し上げにくいのですが……お祓いをさせていただけないでしょうか」とのことでした。
私はてっきり、噂をこれ以上広めないために、隣近所に形ばかりの挨拶をするのだと思っていたのですが、どうも話の内容が噛み合いません。
なぜなら、お祓いをするのは『我が家』だったからです。
そのアパートの2階西側の部屋と、我が家の2階東側の窓が、ちょうど斜め前くらいの位置関係にあるのですが、どうやらその窓に、時々”誰か”が立っているのが見える、というのです。
実はその窓、アパートが建った時に目の前が丸見えになってしまったため、ずっとカーテンを閉めきっており、めったに開けることのない窓でした。
そのことを伝えると、「カーテンと窓の間に立っているように見えるそうで。それが一層不気味らしくて……」とのことでした。
もちろん私は、すぐにお祓いをお願いし、今月の初めに無事終わりました。
ただ、その窓のカーテンは、まだしばらく開ける気にはなれそうにありません。
(終)
AIによる概要
この話が伝えたいことは、日常の中に潜む「気づかぬうちに関わっていた恐怖」や「無自覚な当事者性」です。
一見、問題があるのは隣に建ったアパートのほうで、頻繁な退去や不気味な噂もすべて向こう側の話だと思っていた語り手が、実はその原因の一端が自分の家にあると知らされる。しかも、それは家族すら気づいていなかった“窓の中の誰か”という存在によるものだった。
この構図によって、私たちが安心している「自分の場所」にも知らないうちに異質な何かが入り込んでいるかもしれないという、静かで深い不安を呼び起こしています。そして最後に、すでにお祓いが終わったにもかかわらず、カーテンを開けることができないという描写によって、「恐怖は終わっていない」と感じさせる余韻を残しているのです。
つまりこの話は、見えないものに対する不安と、人は時に無意識のうちに“何か”の中心に立ってしまっていることがあるという教訓を、さりげなくも強く訴えているのです。
































