畦に座っていると尻をツンツンと突かれる
これは、知り合いの話。
彼が実家の山で、棚田の手伝いをしていた時のことだ。
畦に腰掛けて休んでいると、地に面しているお尻がツンツンと突き上げられた。
「うひゃぁ!?」と飛び上がって地面を見たが、そこには何も無かった。
首を傾げて再び腰を下ろすと、しばらく経ってからまたツンツンと突かれる。
即座に腰の下を探ったが、やはり何の姿も見つからない。
何回も立ったり座ったりしていると、実家の者がこう声をかけてきた。
「あぁ、ワラカラに突かれているなぁ。別にそれ以上の悪さはせんから放っておきなよ」
ワラカラとは稲藁を意味する言葉だそうで、その里では昔から知られた存在らしい。
決まって畦に座っていると、地面の下からお尻を突いてくるモノなのだと。
しかし、その姿を目にした人はいないという。
彼はその後、できるだけ畦に座らないようにしたのだが、それでも何度かうっかりと腰を下ろしてしまい、その度に「うひゃぁ」と突かれてしまったそうだ。
(終)
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