本音で喋れた唯一の友達
これは、俺が中学生だった頃の話。
俺は学校へ行くのが嫌で嫌で仕方なかったのだが、そんな中でも何でも本音で喋れる友達が一人だけいた。
その友達の名前を仮に『吉川』とする。
吉川は身体が弱く、熱が出たり喘息があったりして学校を休むことが多かった。
そんな時、熱にうなされているとよく俺が部屋の壁から出てきて立っていたらしい。
確かに俺は、吉川と話している時間だけが楽しみで、それだけで学校へ行くのを我慢できた毎日だったので、彼が欠席の日はガッカリしていた。
だが、まさか生霊を飛ばしていたとは・・・。
「怖かったり気持ち悪くなかったんか?」と聞いてみれば、「別に。淋しいんだろうなって思ってたから」と言う。
吉川は普段からよく霊を見ているようだから慣れていたのだろう。
俺は自分が生霊化して友達に会いに行くぐらい、心の拠り所がないんだなと思ってショックだった。
遠く離れた今でも、吉川との付き合いは続いている。
(終)
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