蛍 1/4
八月。 開いた窓から吹き込んでくる風と共に、 微かに蝉の鳴き声が聞こえる。 時計は午後六時を回ったところ。 陽はそろそろ沈む準備を始め、 ラジオから流れてくる天気予・・・
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なつのさん (一覧)(2 / 14ページ)
八月。 開いた窓から吹き込んでくる風と共に、 微かに蝉の鳴き声が聞こえる。 時計は午後六時を回ったところ。 陽はそろそろ沈む準備を始め、 ラジオから流れてくる天気予・・・
S「さて、もう良いだろ。おい、 外した戸を元に戻すから手伝え」 二人で二枚戸を元に戻す。 外すことが出来たんだから、 戻すのも簡単だろう と思っていたのだけれど、 それは間違いで・・・
足やライトを持つ手が 震えているのが分かった。 恐怖では無い。 ただ、身体が震えていた。 息をするのも辛くなって、 僕は二人に背を向けた。 その時、初めて自分が 泣いているのだと・・・
その時、ズボンのポケットの中で 携帯が振動した。 電話だ。 誰だろうと思い取り出してみると、 それはKからだった。 少し早めに恥ずかしい土産話を 披露することになるのだろうか。 ・・・
僕「そんなこと・・・」 S「無いと言い切れるか? お前、Kが言ってた、 犯人の女が失踪する前に残した、 遺書らしき手紙の内容覚えてるか? 確かな情報じゃないかも知れ・・・
S「全部じゃないかも知れんが、 名前が書いてある。 ●●ってな。 ここの子供の愛称だったか」 玩具箱を覗き込むと、 確かに一つ一つの玩具に 『●●のもの』 &nbs・・・
「ん」と一声、力を込める。 どうやら、 襖を外す時のように、 二枚の戸を同時に 持ち上げようとしているらしい。 鍵が掛かっているなら 扉ごと外してしまえ、 という作・・・
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