「妙だったな・・・」と思う出来事がある
たまに思い出しては、
妙だったな・・・と思う出来事がある。
それは中学生の時。
いつもは友達と下校していたが、
その日は一人だった。
学校の隣に「●●製作所」という建物があり、
そのすぐ横を歩いていた。
そうすると、
向かい側から人が歩いて来る。
なんとも妙な感じだった・・・
ぱっと見た感じでは、
浅黄色の作業服的なブルゾンを着た
二十代くらいの男性に見えた。
(その製作所の人かな?)と、
すれ違う直前まで意識するでもなく
その人を視界に入れていたが、
もう少しですれ違うというところで、
その男性の“荷物”に気づいた。
かなり大きな赤錆びた鎌を、
さりげなく背負っていた。
(死神が持っていそうな柄が長いもので、
刃渡り60センチほどの大鎌)
(ツルハシか?)
すれ違いざまに目だけで二度見したが、
やはり鎌で、
その大鎌も含めてその男性の雰囲気は、
なんとも妙な感じだった。
“音が無い”というのか、
“気配が無い”というのか。
なんとなく振り返ってはいけないような気がして、
そして出来るだけ普通の足取りで歩き続けた。
何事もなく、家に着く。
あんなものを持って街中を歩いていたら、
確実に捕まるだろうという感じだったが・・・
西暦2000年頃の、
わりと都会での出来事である。
(終)