捨てても失くしても戻ってくる人形
これは、人形にまつわる不思議な話。
実家には『捨てても戻ってくる人形』がある。
それはイギリスの兵隊さん(赤い制服に、長くてフワフワした帽子)の人形で、寝かすと目が閉じる仕掛けがある。
大きさは20センチくらいだろうか。
私が小学生の頃の大掃除の時、母が確かに袋に入れて捨てていたのを見た。
しかし数日後、捨てたはずの人形が庭に倒れていた。
まだどこかにいると思う
その時は「勘違いだったのかな?落っこちた?」とうやむやになって、結局は拾って家に戻した。
こんな事が2度あった。
そして数年後、「そういえばあの人形どこにあるのかね?」なんて話をしていた数日後、階段に倒れていた。
どこかにしまい込んだはずなのに・・・何故?と、家族で怖くなった。
極めつけは、実家の建て替え時の事。
建て替えで一時賃貸に引っ越した時には何故か人形は見当たらなかったのに、新築になった家に戻って荷物を開けていたら・・・いた!
私は本気で悲鳴を上げた。
しかし母はもう色々と通り越してしまい、「はい出たあ~(笑)、また出~ま~し~た~(笑)」と爆笑していた。
まだどこかにいると思う。
ちなみに、人形が家に来たきっかけは誰も覚えていない。
多分、お土産的な貰い物だったと思うが・・・量産品だし。
見るからにおどろおどろしい日本人形とかならまだ納得いくのだが、外国の兵隊さんで、本当にお土産屋さんとかにあるような量産品だから戻ってくる理由が全く分からない。
特別大事にしていたわけでもないし・・・。
しかも、寝かすと目が閉じる仕掛けがあるもんだから、いつも発見した時にうっすら半目になっていて、それがまた不気味でもある。
(終)