とある山奥の渓流釣り場での怪現象
これは友人の話。
仲間と一緒に、山奥の渓流へ釣りに出掛けた時のこと。
車で現地まで行って車中泊し、暗いうちから釣りにかかるという行程だった。
普段と同じような内容だが、ただ、そこの常連からしつこく注意を受けた。
「ここで休む時は絶対にドアロックしてなきゃダメだぞ。それと、何かあっても車からは出るな。放っとけ」
変わった注意だと思ったが、素直に聞き入れることにしたそうだ。
その夜、車の中で毛布を被って寝ていると、突然ドアがガチャガチャと音を立てた。
慌てて寝惚け眼を擦りながら起き上がり、「誰?」と尋ねてみる。
返事は無い。
ハンドライトを点け、外を照らすが何もいない。
「気のせいかな?」と再び寝ようとすると、またドアがガチャガチャときた。
・・・何かが車の中に入ろうとしている?
やはり、外には誰も見えない。
「それで、どうしたの?」
ドキドキしながらそう聞く私に、「どうしたもこうしたも、毛布引っ被って強引に寝たよ。次の日は早いんだ。釣りの邪魔されちゃ適わんからな」と、しれっとした顔で答えた彼だった。
(終)
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