ハニワと俺の不思議なシンクロニシティ
これは、ハニワにまつわる不思議な話。
俺が小学3年生の頃、家族4人で旅行した時に両親が買った『ハニワ』が居間に飾ってあった。
ある日、そのハニワの鼻の先端が欠けて落ちた。
夕食後の家族みんながいる前でポロっと。
なんだか捨てるわけにはいかなくて、そのハニワの傍らに欠けた部分を置いた。
次の日、俺は自転車に乗っておやつを買いに行く途中で転倒し、鼻を大怪我した。
左右の鼻の穴の仕切り壁部分と右側の外側の壁を切って大出血した為、病院に連れて行かれ縫合した。
ハニワとの偶然の一致は続く
次の年にもまた勝手にハニワが壊れた。
今度は右肩部分が撫で肩になるくらいに割れてしまった。
もちろん落としたりしたのではなく勝手に割れ落ちた。
翌日、俺は学校の鉄棒から転落し、右肘を骨折してしまった。
思い返すとハニワは腕が生えていないものなので、肩が欠けることで腕の怪我を示してくれたのかもしれない。
数年後、肩口から反対の脇に向かって斜めにスパッと胴体部分が割れて倒れた。
さすがにこれくらいの大怪我だと死にそうなのでドキドキするが、俺にはもう何の事か分かっていた。
なぜなら、友人のイジメを庇ううちにターゲットが自分に向けられるようになっていたのだ。
そして自殺まで考えるほど毎日が辛かった時に、代わりにハニワが死んでくれたみたいなものだった。
だが、それはどうやら勘違いだった。
俺は田舎育ちで小さい頃から我が家の山にある椎茸農場の手伝いをしていたのだが、チェーンソーで木を切っている時に自分の左足に跳ねてしまい、チェーンソーで足を切ってしまったのだ。
よくよく考えると、ハニワは腰から上の部分しかないので、足の怪我を表現するには胴体部分で割れるしかなかったのだ。
これだけシンクロしているとマズイものなのではないか?とも思うのだが、やがて高校へ通うために下宿することになった。
結果、しばらくハニワと離ればなれで暮らすことになった。
そしていつしかその存在を忘れがちになってしまった。
それもそのはず、それは居間ではなく玄関を上がるとすぐにある大広間のガラスショーケースに移されていたのだ。
それに気付いたのは、東京に就職するのが決まった頃だった。
まさに家族団らんの部屋から外へ出て行くかのように思えて鳥肌が立った。
時は流れ、父の死後に家中を片付けてしまい、ハニワがどこにあるのか分からないまま東京に戻った。
間もなく仕事を辞めて、友人のアパートを転々と暮らすことになった。
半年くらい経つと母も余裕が出来たのか、片付けてあったハニワを見つけて居間に置いたようで、俺は都落ちして実家の田舎村に帰ることになった。
母はさすがにおかしいと思ったのか、はたまたハニワを気持ち悪く思ったのか、家から出してしまった。
納屋に片付けてしまったのだ。
そして今、俺はよその家でこれを書いている。
長男で実家を継ぐつもりだったのに、気づけば婿入りして姓が変わってしまった。
つまり、実家から出てしまったのだ。
この先ハニワがどうなって、俺はどう生きていくのか。
楽しみでもあり、冷めた感覚で毎日を過ごしている。
(終)
埴輪がいらなくなる
↓
ごみ収集に出す
↓
ごみ収集車に入れられる
↓
埴輪が…