水浸し部屋と見つからない子供
これは、ある団地で起きていた奇妙な話です。
当時、関東でも2~3番目に大規模な団地に私は住んでいました。
ある時、同じ団地で近所だった3人家族が、九州へ旅行中に海岸の崖から車ごと転落して全員死亡する、という事故がありました。
ただ、両親は遺体で発見されたのですが、男の子のお子さんだけが行方不明のまま死亡宣告されました。
その家族が住んでいたE棟502号室に数年後、新しい家族が住むようになりました。※室番号は仮
新しく住んだ家族も3人家族でしたが、お子さんは女の子でした。
しばらく生活をしていると、部屋の中が度々水浸しになることがあり、子供のものと思われる足跡が玄関から続いていることもありました。
またある日、男の子用の半ズボンがびしょ濡れで玄関の内側に落ちていたことがあり、どう考えても海水の匂いがしていました。
その出来事があった日から夫婦仲が急激に悪くなり、奥さんはお子さんを連れて失踪してしまいました。
残された旦那さんはノイローゼ状態になりながらも近くの給水塔で管理の仕事をしていましたが、今思うと当時は給水塔で異常なことが度々起きていました。
通常は時刻を知らせる鐘がお昼と夕方に鳴るのですが、真夜中に鳴り出したり、意味のわからないアナウンスや、水道の水から異臭や異常な色の水が出たりしていました。
そんなことが何十回とありましたが、ある日を境にぱたりとなくなりました。
私は当時中学生で、通学に給水塔の横を通っていました。
ちょうど給水塔からの異常な出来事がなくなった頃から、横を通る時に異臭がすることに気がついていました。
何か動物でも死んでいるのかな?
そう思っていましたが、2週間ほど経った頃、給水塔の管理事務所の建物の上から遺体が見つかりました。
ノイローゼ状態だった旦那さんが、給水塔から飛び降り自殺したようでした。
その後、不思議なことが度々あったE棟502号室にまた別の家族が住みましたが、やはり部屋の中が水浸しになる等の異常があったことから、お祓いをして頂き、それ以降はおかしな現象はなくなったそうです。
ただ今でも、そのE棟502号室の玄関入り口には御札が貼られています。
(終)