本家に災いをもたらしていた原因
本家は昔からの大地主で、
沢山の小作人を働かせていました。
※小作人(こさくにん)
田畑など農地の所有者である地主(寄生地主)から農地を借りて耕作し、小作料を支払って農業を行っている農家のこと。小作農。はてなキーワード
昔の事なので『身分違いは人ではない』
という考え方だったらしく、
牛などの家畜と大差無い扱いを
していたそうです。
いつからか本家では、
不具合のある子が生まれる事が多くなり、
近隣には『呪われた家』と、
噂される様になりました。
ある日、呪い師に見てもらうと、
「無念の思いで死んだ小作人たちの怨みが、
この家に災いをもたらしている」
と言われたそうです。
それからは子供が産まれる時は、
近い日に産まれた犬を飼い、
その呪いを移す事になったそうです。
飼われた犬は三年ほど経つと、
急に狂った様に吠えて、
壁に頭を何度もぶつけて死ぬそうです。
田舎から貰った犬が、
すぐに流行り病で死んで
落ち込んでいた俺に、
分家の叔父さんがしてくれた話です。
「だからお前が悪いんじゃないよ、
気にしなくて良いんだよ。
病死なんだから、
まだこいつは幸せだったんだよ」
と言う叔父さんの顔は優しくて、
少し哀しそうでした。
(終)