呪う女 18/18

初めて『中年女』と会った場所。

 

俺達は黙り込み、ゆっくりと

明かりを燈しながら、あの木に近づいた。

 

あの日、中年女が呪いの儀式をしていた木・・・

間近に寄り、明かりを燈した。

 

今は何も打ち込まれておらず、

普通の大木になっていた。

 

しかし、古い釘痕は残っていた。

所々、穴が開いていた。

 

恐らく、警察がすべて抜いたのだろう。

しばらく三人で釘痕を眺めていた。

 

そして慎が、

「ここら辺でハッピーが

死んでたんだよな・・・」と、

地面を照らした。

 

さすがにもうハッピーの遺体は無かったが、

ハッキリとその場所は覚えている。

 

俺はその場に『うまい棒』と『コーラ』を

供えた。

 

そして三人で手を合わせ、

次はタッチの元へ。

 

秘密基地跡へ向かった。

 

秘密基地に向かう途中、淳が

「色々あったけど、やっぱ懐かしいよな」

 

とポツリと言った。

 

すると慎が、

「あぁ。あの夜、

秘密基地に泊まりに来なければ、

嫌な思い出なんて無かっただろうな」

 

と言った。

・・・確かに。

 

この山で『中年女』に会わなければ、

ここは俺達にとっては聖地だったはずだ。

 

「ここらへんだったよな・・・」

慎が立ち止まった。

 

秘密基地跡地。

もう跡形も無かった。

 

あの日バラバラにされていた材木すら、

一枚も無かった。

 

淳が無言でしゃがみ込み、

『うまい棒』『コーラ』を置き、

手を合わせた。

 

俺と慎も手を合わせた。

 

しばらく黙祷したのち、

慎が言った。

 

「ハッピーとタッチがいなけりゃ・・・

今頃、俺達いなかったかもな」

 

淳「あぁ・・・」

 

俺「そうだよな・・・。結局、

『中年女』も更正して、なんだか、

やっと悪夢から解放された感じだな」

 

しばらく沈黙が続いた。

 

ふと慎が、周囲や目の前の池を

電灯で照らし、

 

「この場所、あの頃は俺らだけの

秘密の場所だったのに、結構来てる奴

いるみたいだな」と。

 

慎が燈す場所を見ると、スナック菓子の袋や

空き缶が、結構落ちていることに気付いた。

 

俺は、

「ほんとだな。あの頃はゴミなんて

全然無かったもんな。今の小学生、

この場所しってんのかな?」

 

と言った。

 

淳が続けて、

「あの時は俺ら、まじめにゴミは

持ち帰ってたもんな」

 

と言った。

 

その時、慎が、

「うわっ!何だこれ!」

 

と叫んだ。

 

俺と淳はその声に驚き、慎の照らす

明かりの先に視線をやった。

 

一本の木に、何やらゴミが張り付いている。

 

よく見ると、無数の菓子袋や空き缶、

雑誌が木に釘で打ち付けられていた。

 

「なんだこれ?!」

 

慎が明かりを照らしながら近づいていった。

俺と淳も後を付いていった。

 

「誰かのイタズラ??」

 

俺はマヂマヂと、打ち付けられたゴミを見た。

 

その時、

「あぁぁぁ・・・これ・・・俺の、

ゴミぃ・・・ぁぁぁぁあ・・・」

 

と、淳が震えた声で言いながら硬直した。

 

「は?!」

俺と慎は聞き直した。

 

淳は、

「あ゛ぁぁぁ・・・俺が、病院で捨てた・・・

あぁぁ・・・」

 

と言いながら後退りした。

 

慎が、

「おい!淳!しっかりしろ!

んなわけねーだろ!」

 

と怒鳴りながら、釘で打たれた一枚の

菓子袋を引きちぎった。

 

それを見て淳は、

「あー、ぁあぁ・・・」

 

と奇妙な声を出し、尻餅をついた。

 

その行動に俺と慎は呆気に取られたが、

次の瞬間「うわっ!」と、

慎が手に持っていた袋を投げた。

 

「え?!」と俺がその袋に目をやると、

袋の裏に『淳呪殺』とマジックで書かれていた。

 

俺はまさか?と思い、木に釘打たれたゴミを

片っ端から引き剥がし、裏を見た。

 

『淳呪殺』

『淳呪殺』

『淳呪殺』

『淳呪殺』

 

すべてのゴミに書かれていた。

 

淳は口をパクパクさせながら、

尻餅をついた状態で固まっていた。

 

慎が何気に周囲に落ちていたゴミを拾い、

「おい!これ!」と俺に見せてきた。

 

『淳呪殺』

 

なんと、周囲に落ちているゴミにも

書かれていた。

 

俺はその時、初めて気付いた。

 

『中年女』は更正なんて、

始めからしていなかったんだ。

 

ずっと俺達を怨んでいたんだ。

 

病院でゴム手袋をして必死で分別していたのも、

淳のゴミだけを分けていたんだ!

 

俺達に「ごめんね」と言っていたのも

全部嘘だったんだ。

 

俺は急にとてつもなく寒気を感じ、

ここにいてはいけない!と本能的に思い、

 

淳に「おい!しっかりしろ!行くぞ!」

と言ったが、

 

「俺の・・・ゴミ・・・俺のゴミ・・・」と、

淳は壊れていた。発狂していた。

 

とりあえず慎と俺で淳を担ぎ、

山を降りた。

 

あれから8年、あの日以来、

もちろん山には行っていない。

 

『中年女』とも会っていない。

 

まだ俺達を怨んでいるんだろうか?

どこかで見られているんだろうか?

 

しかし俺達三人は生きている。

ただ、未だに淳は歩く事が出来ない。

 

(終)

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