「中に子供がおるの!お願い、助けて!」

倒壊した家

 

これは、阪神淡路大震災が起こったまさにその時の話。

 

当時の俺はひきこもりで、朝方に寝ようとして地震が起きた。 ※5時46分に地震発生

 

外を見ると、うちの隣のアパートが倒壊している。

 

そこに住んでいる友達の妹が、窓から顔を出した俺に向かって、「中に子供がおるの!お願い、助けて!」と叫んでいたが、アパートの1階部分はすでに崩れており、2階部分も崩れる寸前だった。

 

俺は内心、(マジかよ・・・)と思うが・・・。

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子供の近くにいた一匹の猫

すぐさま、大家さんが「やめとけ!今、消防呼んだから!」と怒鳴る。

 

だが、俺はすでに隣のアパートの窓枠に手を掛けていた。

 

小さな窓枠だったが、当時はガリガリに痩せていたので楽々と中に入れた。

 

中は埃がもの凄く、真っ暗で、この中に子供がいるなんて信じられなかった。

 

(一体、どこにおるんや!?)

 

その時、外から大声がして、続いてガッターン!と激しい音と共に部屋が少し傾いた。

 

でも、自分は死なないような気がしていた。

 

直後、「ニャー」と猫が鳴く声がして、奥の方に目を凝らすと、タンスの上に一匹の猫が座って俺を見ていた。

 

俺は急いで近寄ると、猫はタンスの横に降りた。

 

そしてタンスの下の、包まった布団の中あたりから泣き声が聞こえた。

 

タンスを引き起こし、特大のスヌーピーのぬいぐるみと布団の隙間に子供が埋まっているのを見つけた。

 

俺は急いで子供を抱え、窓枠から外に出ようとした。

 

・・・が、入った時とは違い、子供を抱えているので窓枠を通り抜けられない。

 

(おい、どうしたらええんや!?)

 

すると、さっきの猫が襖の前にいて、その襖からは光が漏れ、「こっちや、こっち!」と外から怒鳴る声が聞こえた。

 

襖を開けると、目の前には何故か朝日が。

 

そこに部屋はなかった。

 

下には大勢の男が布団を積んで待っていて、みんなが「はよ、飛べ!」と叫んでいる。

 

「猫は?」と聞くと、「猫なんてどうでもええ!はよせえ!」と怒鳴られた。

 

そうして俺は子供を抱えたまま、布団に飛び込んだ。

 

脱出した3分後、アパートは完全に崩れた。

 

俺は友達の妹に、「猫おったんやけど、ごめん・・・」と言うと、「いや、うちの猫は先月に死んでん」と。

 

(え?あの猫は?)

 

よく話を聞くと、彼女の飼っていた猫は黒猫で、俺が見たのは白猫だった。

 

あの猫は一体?

 

あとがき

うちは下町なので、異常なほど猫がいる。

 

母に聞いたところ、アパートの大家さんが俺の見た猫を「猫の神様」だと言って、近くの神社に寄付して『小さな社』を建てたそう。

 

そして当時ガリオタだった俺も、今では70キロオーバーの社畜になった。

 

(終)

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