祖父が拾ってきた真っ赤な石
これは、父さんから聞いた話。
父さんの父さん、つまり僕のお祖父さんが不思議な石を拾ってきたことがあるという。
石なのに冬でも暖かくて、夜になるとぼんやり光る『真っ赤な石』。
お祖父さんは釣りが趣味だったので、夜釣りの時に拾ってきたらしい。
その石を神棚にあげていたんだけど、拾って何年かしてから、急に目を離した隙に何度も何度も神棚から落っこちるようになった。
気味が悪くなったので、法事で家にやって来たお坊さんに相談したら、「悪い物とは思えないが、お寺で供養してみましょう」と言って引き取って行った。
その後はその石がどうなったか分からないけど、そのお寺は何度も後継ぎさんを迎えたのに結局は潰れてしまった。
そのお寺があった跡は、新しい電車も通るようになって開けた場所のそばにあるのに、何度もビルを建てようという話があったらしいけど上手くいかないままなんだそう。
その土地は誰の買い手も付かないまま、今でも空き地のままになっている。
(終)
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