その日に見た夢の内容を書いていたら
私は10年ほど前に『夢日記』を書いていた時期があった。
登校中にバスの中で、寝ぼけながらその日に見た夢の内容をメモ帳に残していた。
その頃によく見ていたのが、男性のサラリーマンの自分が仕事をしている夢。
私は当時高校生で、そのうえ女だったから、現実とのギャップが面白おかしかった。
夢日記を書き始めてしばらくした後、読み返そうと思って日記を開いてみた。
けれど、寝起きが悪いせいで字が汚く、また所々読めない箇所があったりして、「あちゃぁ・・・」と思いながらページをめくっていた時、丁寧な文字で書かれたページが出てきた。
訝しく思って内容を確認すると、夢日記のはずが日々の私の日常が書かれていた。
今日は友達とカラオケ行ったとか、冒険して買ったジュースがまずかったとか。
私はそんなことを書いた覚えがないから気味が悪かった。
加えて、筆跡が明らかに自分のものと異なるのが余計に気持ち悪く、学校で読み返していたのですぐに教室のゴミ箱に捨ててしまった。
それから時は過ぎて私も大人になり、その記憶を思い返すことはそれまで全然なかったけれど、先日久しぶりにサラリーマンの男性になる夢を見た。
夢の中の自分はそれが夢だと気付いていないから仕事を延々とこなしているんだけれど、自分が書いた字を見た時にハッとして、「夢日記に書かれていたあの筆跡はこれだ!」と思った瞬間、跳ね起きた。
胡蝶の夢みたいだと色々考えているけれど、かなり興奮している。※胡蝶の夢=夢の中の自分が現実か、それとも現実の方が夢なのかわからないこと
明日も仕事なのに、どうやらこのまま寝付けなさそう。
あとがき
久しぶりにこの夢を見た時、最初は不安になったけれど次第に落ち着いてきた。
もしあのサラリーマンの男性が実際に存在に、そして夢日記を書いていたら、私の汚い字が所々にあったりするのかな?
そう思うと、楽しくなるくらいの余裕が出てきた。
多重人格なのか、はたまた外にいる誰かと意識が繋がっているかはわからないけれど、日記帳を捨ててしまったのはもったいないなと今更ながら思ったので、これを期にまた夢日記をつけてみることにした。
何か進展でもあったら報告しようかなと考えている。
(終)